そもそもパラパラって何?
パラパラとは、ダンスミュージックであるユーロビートの速いテンポに合わせた、身振りや手振りで構成されるダンスのことを指します。
音楽のジャンルと勘違いをしている人も多いのですが、パラパラはロックダンスやブレイクダンスなどのように、あくまでもダンスの一種です。
パラパラの起源は1980年。
当時の明治学院大学の学生が、体育の授業で習った「腕をシンクロさせない体操」をツバキハウスというディスコでたまたま踊ったのがきっかけで、その斬新な動きが注目を集めるようになったと言われています。
パラパラといえば、左右に移動するだけの足の動き(2ステップ)と、両手を広げたり交差したりとキレのある手の動きが特徴ですよね。
このように、パラパラは他のダンスにはないような独特なダンスであると言えます。
さらに他のダンスよりも比較的簡単に踊れるので、手軽に始めやすいダンスとも言えるでしょう。
ブームはいつ?パラパラの歴史
第1次パラパラブーム
バブル期真っ只中の1980年代後半~1990年。
主にクラブやディスコにおいて、集客をアップさせるために黒服()自らが振り付けを考えて踊り、芸の一環としてパラパラを広めました。
パラパラはすぐさま多くの客から人気を集め、振り付けを覚えるためにクラブに通うというのが当時の定番。
この頃のパラパラは、一曲まるごと踊るのではなく、サビ部分のみ踊っていたそうです。
また、黒服が自ら振り付けを考えていたので、店舗によって振り付けが違うなんてこともあったのだとか。
黒服・・・ディスコやクラブで働いている男性従業員のこと(まれに女性もいます。)
第2次パラパラブーム
平成初期の1990年代半ば~1990年代後半。
1994年にレコード会社から「パラパラ教典」のビデオがリリースされ、自宅でも手軽にパラパラを踊れるようになりました。
この頃からサビ部分だけではなく、イントロ部分から踊るようになり、ますますパラパラに関心を持つ若者が増えたのです。
その背景には、翌年の1995年に歌手の安室奈美恵さんによる「TRYME~私を信じて~」や、1996年には日本の女性ダンスグループMAXさんによる「TORATORATORA(トラトラトラ)」がリリースされ、さらにユーロビートの人気が高まったことが影響していたのでしょう。
第3次パラパラブーム
ガングロギャル全盛期の1990年代終盤~2000年代初頭。
この頃が最もパラパラの人気が過熱した時代と言えます。
その背景にはテレビ番組「SMAP×SMAP」において「バッキー木村」に扮した木村拓哉さんがパラパラを披露したことがきっかけで、ガングロなどのギャルやギャル男を中心にパラパラブームが巻き起こりました。
それに加えて、1999年にavexからデビューした「パラパラオールスターズ」の登場やミッキーとミニーがパラパラを披露したり、名探偵コナンのオープニングでコナンくんが曲に合わせてパラパラダンスをしていたりと、パラパラがどんどん身近なものに変わっていったのです。
中でも「パラパラオールスターズ」は、パラパラのカリスマ、神などと称され、当時パラパラを踊る人たちには欠かせない存在となりました。
2001年にコナミが出した「パラパラオールスターズ」というダンスゲーム機によってゲームセンターでもパラパラが大フィーバーしました。
また、歌手の浜崎あゆみさんやEvery Little Thing(エヴリ・リトル・シング)さんなどのヒット曲がユーロビート(パラパラ用のアップテンポな楽曲)にリミックス(加工)されることが多かったのもこの時代。
これらの影響で、世代を超えてギャルだけではなく一般の人にも広く浸透していきました。
また「パラパラ」が2000年の流行語大賞にランクインするなど、当時のパラパラに対する人気の高さがうかがえますね。
2002年以降
パラパラのブームはすっかり落ち着きギャルサー()のイベントなどでしか見る機会がなくなりました。
ギャルサー・・・ギャルサーは主に高校生のギャル・ギャル男が所属しているサークルのこと。
週1ペースで渋谷センター街に集まりギャルたちの青春ともいえるイベントに向けての話し合いをしたり、プリクラを撮ったりして過ごしていました。
この頃のパラパラといえば、長州小力さんによる「NIGHT OF FIRE(ナイト・オブ・ファイヤー)」のパラパラを踊るお笑いネタや、「恋のマイアヒ」がパラパラの曲として使用されるなど、話題になりました。
さらに2007年には当時Popteenで人気を得ていた、益若つばさちゃんが歌う「Magic to Love(マジックトゥラブ)」が「俄然パラパラ」というパラパラを学ぶことができるDVDに収録され注目されました。
2018年には青山テルマさんがリリースした「世界の中心~We are the world~」のMVで渋谷109前でギャルたちとパラパラを踊るなど、パラパラ再燃の兆しが時折見られることはあったものの、再ブームとまでは至りませんでした。
しかし2020年頃から、パラパラを披露した動画がSNS上に度々投稿されるようになり、若者の間でもパラパラが話題になっています。
その背景には大人気アニメ「鬼滅の刃」のコスプレをしている人が主題歌に合わせてパラパラを踊っていたり、パラパラを踊る新生eggのギャルモデルが「カワイイ」と好評だったりすることが挙げられます。
長い年月を経て、パラパラのブームが再び巻き起こりそうな予感ですね。
誰が?どんな場所でパラパラを踊っていたの?
第1次~第2次パラパラブーム
黒服芸として広まったパラパラは、主にOLやサラリーマンなどの社会人が、ディスコやクラブで踊るものでした。
ボディコンワンピースを身にまとってお立ち台の上で踊る女性たちは、女性客にとって憧れの存在です。
しかしお立ち台に上れるのは、上級者のみ。
最低でも100曲の振り付けをマスターしておく必要があるため、夜な夜なディスコやクラブに通い、振り付けを覚えるというのがお決まりだったようです。
第2次には、パラパラビデオのリリースによって自宅でも踊ることが可能になりました。
第3次パラパラブーム
木村拓哉さんやさまざまな影響により、パラパラを踊るギャルやギャル男が激増。
クラブに通えない20歳未満のギャルやギャル男は、公園や路上などの屋外で踊るのが主流となったのです。
それに加えてギャルサーに所属しているギャル、俗に言うサー人が集団で踊ったり、屋外イベントなどで披露したりと、そういった光景がメディアでも多く見られるようになりました。
よって、この頃から「パラパラはギャルが踊るもの」というイメージが定着していったのです。
よく踊られていたパラパラの有名な曲をご紹介!!
TAKE ON ME(テイク・オン・ミー)/A‐HA
パラパラの歴史に深いつながりがある1曲。
この曲中にあるフレーズが、パラパラという名前の由来であると言われています。
TRY ME(トライ・ミー)~私を信じて~/安室奈美恵
第2次パラパラブームの火付け役となった1曲。
パラパラの曲として長く親しまれ、現在でも人気曲となっています。
NIGHT OF FIRE(ナイト・オブ・ファイヤー)/NIKO
長州小力さんのお笑いネタで使われていた曲で、パラパラが世に知れ渡るきっかけとなった認知度の高い1曲。
「この曲でパラパラを知った」という人も多いのでは?
MICKEY MOUSE MARCH(ミッキーマウス・マーチ)/ドミノ
「ぼくらのクラブのリーダーは~ミッキーマウス、ミッキーマウス、ミッキー ミッキーマウス♪」でおなじみの「ミッキーマウス・マーチ」もリミックスされパラパラの楽曲として使われていました。
なんとこちらはディズニーのパーク内でミッキーやミニーたちもパラパラを踊っていたんだとか!
覚えやすい振り付けのため、子供から大人まで楽しめる1曲です。
BOOM BOOM FIRE(ブン・ブン・ファイヤー)/D.ESSEX(D-エセックス)
曲中にある「アイーン」と似たような振り付けが特徴的。
他の曲より比較的難しい振り付けになっています。
YESTERDAY(イエスタデイ)/CHERRY
パラパラ好きであれば、この曲を知らない人は少ないであろう言わずと知れた名高い1曲。
振り付けも簡単なので、すぐに覚えられそうです。
BAD BOY(バッド・ボーイ)/CASCADE
こちらもパラパラの曲として非常にポピュラーな1曲。
2ステップと言われる左右に移動する足の動きがないことが特徴です。
近年、この曲に合わせたパラパラを披露する若者の動画がTikTokでも話題となっています。
LOVE&JOY(ラブ・アンド・ジョイ)/木村由姫
主に女性から人気を集めていた1曲。
振り付けも比較的簡単で、可愛らしい振り付けが女性に好評でした。
プリクラ機で流れていたこともあるため、聞いたことある!って子も多いかもしれませんね。
その他にも
- JEALOUSY(ジェラシー)/VIRGINELLE
- One Night In Arabia(ワンナイト・イン・アラビア)/GO GO GIRLS
- I Wanna Dance(アイ・ウォナ・ダンス)/DOMINO
- My Sweet Banana(マイ・スウィート・バナナ)/GO GO GIRLS
- JAM JAM JAM(ジャムジャムジャム)/ KIKI & KIKA
- TORA TORA TORA(トラトラトラ)/DOMINO
- Burning Desire(バーニング・ディザイア)/MEGA NRG MAN
- velfarre2000(ヴェルファーレ2000)/BAZOOKA GIRLS
- scorpion(スコーピオン)/ORIENTAL SPACE
- NUMBER ONE(ナンバーワン)/FASTWAY
- IKEIKE(イケイケ)/TRI-STAR
「パラパラ=ギャル」というイメージが定着していますが、ギャルたちにパラパラが浸透したのは第3次パラパラブームからだったことが分かりましたね。
そもそもパラパラの誕生は、体育の授業で習った体操を大学生が、ディスコで踊ったことがきっかけだったとは驚きです。
のちに、ディズニーランドにおいてミッキーとミニーがパラパラを披露するようになるなど、当時のパラパラはギャルだけにとどまらず、子供から大人まで楽しめるダンスであったと言えます。
また近年では、YoutubeやTikTokでもパラパラダンスが投稿されるなど、再びパラパラへの熱が高まっているようです。
果たしてパラパラ再ブームとなるのでしょうか。
日本の文化とも言えるパラパラを、是非継承していってほしいものですね。